Veeam バックアップ・プロキシー
バックアップ・プロキシーは Veeam® コンポーネントの 1 つであり、バックアップ・サーバーと、その他のバックアップ・インフラストラクチャーのコンポーネントとの間にあります。 バックアップ・サーバーがタスクを管理している間、このプロキシーがジョブを処理し、バックアップ・リポジトリーにバックアップ・トラフィックを配信します。 バックアップ・プロキシーの設計上の主な要素としては、以下のような詳細な内容が含まれます。
- デフォルトでは、バックアップ・サーバーにバックアップ・プロキシーの役割が割り当てられています。 専用のバックアップ・プロキシーをデプロイすることをお勧めします。
- スケーリングについて、バックアップ・プロキシーはスケールアウトまたはスケールアップが可能です。
- バックアップ・プロキシーは、Windows® ベースまたは Linux® ベースの物理サーバーまたは仮想サーバーのいずれにもデプロイできます。
- 実際に、Windows プロキシーと Linux プロキシーの間にパフォーマンス上の違いはありません。 そのため、OS の決定はライセンスなどを基準に行うことができます。
- バックアップ・プロキシーは、以下のコンポーネントおよびサービスを実行します。
- Veeam Installer Service は、Windows を使用したサーバーにのみインストールされる補助サービスであり、コンポーネントの分析、インストール、およびアップグレードに使用されます。
- Veeam Data Mover はデータ処理タスクを実行します。データ処理タスクには、ストレージからの仮想マシン (VM) データの取得、圧縮、重複排除、暗号化、バックアップ・リポジトリーへのデータの送信などが含まれます。
- 理想的な構成として、構成済みプロキシー・タスクごとに、1 つの物理コアまたは 1 つの vCPU と 2 GB の RAM を計画し、そこでプロキシー・タスクが 1 つの VM ディスクを処理する構成があります。
- 仮想バックアップ・プロキシー・サーバーの場合、スケジューリングの問題を回避するために、最大 8 vCPU のプロキシーを構成することをお勧めします。
- 通常、仮想バックアップ・プロキシー・サーバーが使用する vCPU は、4 つ、6 つ、または 8 つです。
- 物理バックアップ・プロキシーの場合は、48 GB RAM とデュアル 10 GB NICS を備えた 20 コア・サーバーの使用を検討してください。
- ソースからバックアップ・プロキシーへのトラフィックは最適化 (圧縮や重複排除など) が行われません。 そのため、バックアップ・データの 100% がこの接続を介して転送されます。
- バックアップ・プロキシーとバックアップ・リポジトリーの間では、一般にソース・データ・サイズの 50% 程度に最適化されたデータが転送されます。
- 仮想アプライアンス・モードでは、Veeam は VMware SCSI HotAdd 機能を使用します。これにより、VM の実行中に VM にデバイスを接続できます。 バックアップ中に、処理された VM のレプリカ・ディスクまたはリストア・ディスクがバックアップ・プロキシーに接続されます。 VM データは、ネットワークを経由するのではなく、直接データ・ストアから取得されるか、またはデータ・ストアに書き込まれます。
- 仮想アプライアンスまたは HotAdd モードは、ダイレクト ストレージ アクセス モードほど効率的ではありません。 ただし、ネットワーク・モードよりも優れたパフォーマンスを提供します。
バックアップ・プロキシーはさまざまなトランスポート・モードを使用して、ソースとバックアップ・プロキシーの間のトラフィック・フローを有効にします。 エンドツーエンドのトラフィック・フローは、以下のようにフローすると考えることができます。
- ソースからバックアップ・プロキシー
- バックアップ・プロキシーからバックアップ・リポジトリー。
データ転送が効率的な順で、以下のバックアップ・プロキシー・トランスポート・モードが推奨されます。
- 直接ストレージ・アクセスにより、バックアップ・プロキシーは、vSphere® ESXi ホストとネットワークを回避してストレージから直接データを取得できます。 バックアップ・プロキシーは、物理サーバーまたは仮想サーバー (iSCSI または NFS 接続ストレージの場合) にデプロイできます。 ただし、ファイバー・チャネル SAN の場合は物理サーバーでなければなりません。 このトランスポート・モードは、vSAN、VVol、または vSphere ESXi ホストのローカル・ストレージには使用できません。
直接ストレージ・アクセスには次の 2 つのモードがあります。
- Direct SAN アクセスは、FC、FCoE、iSCSI を介した vSphere ESXi ホストに接続されている共有 VMFS SAN LUN 上、または共有 SAS ストレージ上にディスクがある VM の場合に推奨されます。 Direct SAN アクセスでは、VMware VADP を使用して、ストレージとの間で VM データを直接転送します。 Direct SAN アクセス・モードでは、vSphere ESXi ホストとネットワークを回避して VM データが SAN 上を移動するために、最速のデータ転送速度が実現されます。 本番のネットワークにも負荷はかからない。
- Direct NFS アクセス・モードでは、バックアップ・プロキシーは vSphere ESXi ホストをバイパスし、ローカル NFS クライアントを介して NFS データ・ストアに直接アクセスします。 VM データはネットワーク上を移動します。 一方で、vSphere ESXi ホストには負荷がかかりません。
- 仮想アプライアンス (HotAdd) により、vSphere ESXi ホストとバックアップ・プロキシー間のネットワーク・フリー・データ転送を有効にすることで、バックアップ・プロキシーからデータ・ストア上の VM ディスクにアクセスできるようになります。 このトランスポート・モードの場合:
- バックアッププロキシはVMでなければならず、VMベースのプロキシの推奨モードである。
- NFS データ・ストアに対しては推奨されません。 Direct NFS アクセスを使用する必要があります。
- バックアップ サーバーとバックアップ プロキシには、VMware Tools の最新バージョンがインストールされている必要があります。
- SCSI 0:X コントローラーは、バックアップ・プロキシー上に存在している必要があります。
- ネットワーク・モードでは、バックアップ・プロキシーは、NBD/NDBSSL プロトコルを使用して vSphere ESXi ホストからネットワークを介して VM データにアクセスできます。 このトランスポート・モードの場合、バックアップ・プロキシーには物理サーバーまたは仮想サーバーのいずれかを使用できます。 ネットワーク・モードでは、バックアップ・プロキシーが VMware Virtual Disk Development Kit (VDDK) を使用して ESXi ホストと通信するため、vSphere ESXi ホストに余分な負荷がかかります。
- 「ストレージ・スナップショットからのバックアップ」モードで、バックアップ・プロキシーが VM ディスクにアクセスできるのは、その VM ディスクがサポート対象ストレージ・システム上にあり、ストレージ・システムが Veeam Backup and Replication によって管理されている場合です。 実稼働環境が IBM Cloud® にある場合、この方法は使用できません。
詳しくは、 『トランスポート・モード』を参照してください。
VMベースのバックアップ・プロキシを使用する場合
- 実稼働環境が IBM Cloud 上にない場合、最も効率的なトランスポート・モードはストレージ・アーキテクチャーによって異なります。
- 本番環境が IBM Cloud で、VMware Cloud Foundation for Classic - Automated インスタンスが NFS を使用している場合、ダイレクト NFS アクセス・モードが最も効率的です。
- 本番環境がIBM Cloudで、VCF for Classic - AutomatedインスタンスがvSAN,を使用している場合、仮想アプライアンス(HotAdd)が最も効率的です。
変更不可能バックアップ・ソリューション・アーキテクチャーでのバックアップ・プロキシー
Veeam サービスによって Veeam のシンプルなデプロイメント・シナリオがデプロイされる際に、バックアップ・プロキシーが、他の Veeam コンポーネントとともに Veeam バックアップ・サーバーにデプロイされます。 変更不可能バックアップ・ソリューション・アーキテクチャーの場合は、既存のバックアップ・プロキシーが使用されます。 実稼働環境の規模に応じて、1 つ以上のバックアップ・プロキシーをデプロイできます。
隔離されたリカバリー環境でのバックアップ・プロキシーのソリューション・アーキテクチャー
隔離されたリカバリー環境ソリューション・アーキテクチャーの場合、隔離されたリカバリー環境の Veeam バックアップ・サーバーに登録されているバックアップ・プロキシーを、実動 vSphere 環境にデプロイする必要があります。