VMware vSphere 環境のリカバリー
データ・バックアップは、データの安全性と保全性を維持するための主要な方法となっています。 理想的で完全な世界では、バックアップの使用が必要になることはありません。 残念ながら、現実の世界では事故や災害が発生します。 そのような状況が発生したら、システムのダウン時間を最小限に抑えて、可能な限り早急に稼働状態に戻すことが最も重要です。
かつては、高性能ストレージまたはテープにバックアップを保管するというのが合理的なソリューションでした。 今日、企業はオンプレミスの物理ストレージに関連する資本コストと運用コストを軽減しようと、オブジェクト・ストレージでストレージを補完したり、時にはストレージをオブジェクト・ストレージに置き換えたりしています。 しかし、オブジェクト・ストレージではバックアップがオンプレミス・ストレージ上に存在しないため、バックアップのリストアは、必要なバックアップを見つけてバックアップからリストアするという方法ではなくなっています。 幸い、オブジェクト・ストレージに保管されているバックアップをリストアするという単調でつらい作業の大部分を実行してくれるハイブリッド・ソリューションを使用できます。 このソリューションは以下で構成されています。
- IBM Cloud® Object Storage
- NetApp の NetApp AltaVault クラウド・ストレージ・ゲートウェイ (旧称 Riverbed SteelStore)
- Veeam Backup & Replication ソフトウェア
壊滅的な状況が発生して 1 次環境がオフラインになった場合、IBM Cloud® 内に 2 次リカバリー・サイトを作成してリカバリーすることができます。 Veeam Backup & Replication ソフトウェアと AltaVault クラウド統合ストレージ・アプライアンスをデプロイして、1 次環境の過去のバックアップにアクセスするために IBM Cloud Object Storage と通信できます。 ソフトウェアがストレージ・アプライアンスに接続してバックアップを新しいロケーションにリストアし、1 次環境をオンラインに戻してそれ以上のアップタイムの損失を防ぎます。
IBM Cloud のリカバリー・サイトで仮想マシン (VM) をリストアしても、オンプレミスの IP アドレスは保持されます。 そのため、正常にリカバリーしたときに IP アドレスを変更するか、BYOIP インフラストラクチャーを設計することが重要です。 どちらの場合も、支援が必要であれば IBM 担当員にお問い合わせください。
以下の手順では、障害が起きたVMware vSphere 環境を完全にリストアするために、NetApp AltaVault クラウド・ストレージ・ゲートウェイ・アプライアンス、IBM Cloud インフラストラクチャー、および Veeam Backup & Replication を連携的に使用する方法に焦点を当てています。 このソフトウェアの使用条件として、リカバリー時には、前述の 3 つのテクノロジーを使用して作成された環境のバックアップが IBM Cloud Object Storage 上に少なくとも 1 つ存在していることが必要です。
「AltaVault アプライアンス」は 2 つに区別されます。 1 つは「オンプレミスの AltaVault アプライアンス」です。障害が発生し、バックアップをリカバリーまたはリストアしなければならなくなった元のオンプレミスの AltaVault アプライアンスを指します。 もう 1 つは「IBM Cloud アプライアンス」です。障害が起きたオンプレミスの AltaVault アプライアンスからバックアップをリカバリーするために使用する AltaVault アプライアンスを指します。 IBM Cloud AltaVault アプライアンスは、ユーティリティー・サーバーを使用して vSphere 環境にデプロイします。
ハイブリッド・ソリューションの導入
Veeam Backup & Replication により、ハイブリッド・ソリューションに NetApp AltaVault クラウド統合ストレージ・アプライアンスと IBM Cloud Object Storage を組み込むことができます。 第一の機能は、仮想環境のバックアップの作成、維持、およびリストアです。 NetApp AltaVault クラウド統合ストレージ・アプライアンスは、オンプレミス環境をプライベート・クラウドまたはパブリック・クラウドとシームレスに統合するソフトウェア・ソリューションです。 これらを一緒に使用することで、Veeam Backup & Replication でバックアップを作成し、AltaVault クラウド統合ストレージ・アプライアンスでローカルのオンプレミス・ストレージにバックアップを保管し、同時に IBM Cloud Object Storage に複製することができます。 さらに、IBM Cloud® の従量制課金制の価格モデルとコンテンツ配信ネットワーク (CDN) との完全な統合により、地理的に分散した 24 のノードにデータを分散させて保管することができます。
IBM Cloud Object Storage
IBM Cloud Object Storage にバックアップされたデータ・ファイルにアクセスするには、データ・ファイルを以下を通して要求します。
- 既にオンプレミスにある AltaVault アプライアンス
- IBM Cloud 内にある 2 次 AltaVault アプライアンス
障害が発生したオンプレミスの 1 次 AltaVault アプライアンスをリカバリーする 2 次 AltaVault アプライアンスを IBM Cloud 内にデプロイするには、次の手順に従ってください。
この IBM Cloud 環境は、2 次 AltaVault アプライアンスを収容して実行するためのローカル・ストレージを備えた単一の ESXi ホストで構成されます。 このインフラストラクチャーは、IBM Cloud 仮想サーバー・インスタンス内で単一の ESXi ホストを vCenter サーバーで管理するという基本的な単一サイト・アーキテクチャーの代表例です。
共有ストレージや以下のフィーチャーのサポートを必要とする、構成要素の多いインフラストラクチャーを使用することもできます。
- vSphere High Availability (HA)
- vSphere Distributed Resource Scheduler (DRS)
- vSphere vMotion
前提条件
先に進む前に、以下の前提条件が満たされていることを確認してください。注: この例では、AltaVault Cloud Integrated Storage 4.1と評価版の AltaVault AVA-v8 アプライアンスを使用しました。
- 既存の環境が、IBM Cloud 仮想サーバー・インスタンス内で vCenter サーバーによって管理される単一の ESXi ホストで構成されている。
- VMware Sphere 用語と vSphere ESXi 環境の管理についての知識。 この知識には、vSphere Web クライアント、vSphere クライアントの使用方法、ネットワークやストレージなどのハードウェア・リソースの割り当て方法についての知識が含まれますが、これに限られません。
開始前に
- コンソールのデバイス・メニューに移動します。 詳しくは、デバイスへのナビゲートを参照してください。
- 必要なアカウント権限とデバイス・アクセス権限があることを確認します。 アカウントの所有者、またはクラシック・インフラストラクチャーの**「ユーザーの管理」**権限を持つユーザーのみが、権限を調整できます。
権限について詳しくは、 クラシック・インフラストラクチャー・アクセス権限の管理 および デバイス・アクセス権限の管理 を参照してください。
ポータブル・プライベート・ネットワークを 2 つ注文する
AltaVault では、環境内の別々のネットワークにネットワーク・インターフェースを置く必要があります。 以下の手順を使用して、IBM Cloud® infrastructure customer portalからポータブル・プライベート・ネットワークを 2 つ注文します。
- **「アカウント」>「注文」**をクリックします。
- **「ネットワーク」セクションを選択し、「サブネット/IP」>「オーダー」**をクリックします。
- ドロップダウン・メニューから**「ポータブル・プライベート」**を選択します。 「ポータブル・プライベート」を選択すると、ポータブル・プライベート IP アドレスの数を選択するオプションが表示されます。 注: IBM Cloud は、ポータブル・プライベート・ネットワークごとにアドレス・ブロック内の IP アドレスを 3 つ以上、自動的に予約します。 予約されたアドレスは、ネットワーク・アドレス、ゲートウェイ・アドレス、およびブロードキャスト・アドレスとして使用されます。 これらのアドレスは、仮想 LAN (VLAN) に直接バインドする必要があります。 ポータブル IP アドレスの取得について詳しくは、サブネットおよび IP の概説を参照してください。
- ポータブル・プライベート IP アドレスの数を選択したら、**「続行」**をクリックします。
- ポータブル・プライベート IP アドレスをルーティングする VLAN を選択し、**「続行」**をクリックします。
- 必要な連絡先情報を入力し、**「注文」**をクリックします。
- 必要な 2 つ目のポータブル・プライベート・ネットワークを取得するために注文プロセスを繰り返します。
- プライベート・ネットワークと IP アドレスが割り振られたら、IBM Cloud infrastructure customer portal ページで**「ネットワーク」>「IP 管理」>「サブネット」をクリックしてそれらを表示します。 IP アドレスの割り当ては記録することをお勧めします。 IP アドレスごとに「サブネット」ページの「メモ」**セクションを使用して、割り当てたマシンを記入してください。
vSphere を構成する
追加したポータブル・プライベート・ネットワークを反映するために vSphere を構成し、ネットワークを論理的に分離します。
- vSphere 環境に移動し、追加したポータブル IP ブロックの 1 つを反映する仮想マシン・ポート・グループを作成します (合計 2 回)。
仮想マシン・ポート・グループには、**「Share Network」**というラベルを付けます。 ポータブル IP ブロックの 1 つは、デフォルト (プライマリー) の仮想マシン・ポート・グループに配置される VM に使用します。 もう 1 つのブロックは、AltaVault アプライアンスとエクスポートされた Common Internet File System (CIFS)/Server Message Block (SMB) マウント・ポイントの間のデータ転送に使用します。
AltaVault クラウド・ストレージ・ゲートウェイ
AltaVault を使用すると、IBM Cloud Object Storage の REST API を使用してスクリプトやアプリケーションを作成することなく、オンプレミス環境をクラウドと統合できます。 AltaVault は、フロントエンドで CIFS/SMB またはネットワーク・ファイル・システム (NFS) のマウント・ポイントを公開し、バックエンドで IBM Cloud Object Storage インターフェースにセキュアに接続します。 その後、マウントポイントにマウントまたはポイントし、データをクラウドにコピーしたり、クラウドから環境を安全にリカバリ/リストアすることができる。
災害復旧構成で AltaVault をデプロイする
IBM Cloud Object Storage を使用した災害復旧ソリューションとして AltaVault をデプロイするには、以下の手順に従ってください。
始める前に
先に進む前に、以下の前提条件を満たしてください。
- AltaVault 仮想アプライアンスのコピーを取得し、ユーティリティー・サーバー上に存在することを確認する。 これは、OVA ファイル拡張子の単一ファイルです。 アプライアンスの NetApp 担当員にお問い合わせいただくか、 NetApp AltaVault Web サイト
から 90 日間の試用版をダウンロードしてください。
- 既存のオンプレミスの vSphere ESXi 5.5 環境が AltaVault アプライアンス用の CPU、メモリー、ディスク・スペースの最小要件を満たしている。 評価版を使用する場合のリソース要件は、仮想 CPU (vCPU) 4 つ、メモリー 24 GB、ディスク・スペース最大 8 TB です。
- vSphere 環境内に 10 Gbps ネットワーク・インターフェース・コントローラー (NIC) が 2 つある。 NIC の 1 つはデータ・アクセス用に使用し、もう 1 つは IBM Cloud Object Storage へのデータ・レプリケーション用に使用します。
- vSphere 環境内に定義した 2 つの NIC に対応する 2 つのポータブル・プライベート・ネットワークがある。 レプリケーション・ネットワークをデータ・アクセス・ネットワークと同じネットワークに割り当てることはできません。ルーティング・ループが生じる可能性があるためです。
- IBM Cloud Object Storage の資格情報がある。 資格情報には、IBM Cloud ユーザー名、IBM Cloud Object Storage ユーザー名、および IBM Cloud ユーザー名に関連付けられている API キーが含まれます。
- オンプレミス AltaVault アプライアンスのデータ・レプリケーションを一時停止する。あるいは、オンプレミス環境がまだ初期状態の場合は、IBM Cloud のバックアップ・アーカイブにアクセスするために使用しているコンテナー/バケットからアプライアンスを切り離す。
- 以下の 2 つの方法のいずれかを使用して、レプリケーションを一時停止または停止します。
- オンプレミス AltaVault アプライアンスをオフにします。
- AltaVault アプライアンスの Web 管理コンソールに移動し、**「Storage」>「Cloud Settings」>「Replication」**をクリックします。 **「Suspend Replication」**を選択します。
- オンプレミス AltaVault アプライアンスの構成ファイルのコピーを取得しているか、URL でアクセスできる。 構成ファイルは .tar ファイルです。
- AltaVault アプライアンスの Web 管理コンソールに移動し、**「Configure」>「Setup Wizard」>「Export Configuration」>「Export Configuration」**をクリックします。 構成ファイル (.tar ファイル) を保存して、ユーティリティー・サーバーに転送するか、URL でアクセスできるようにします。
- VMware Sphere 用語と vSphere ESXi 環境の管理についての知識。 この知識には、vSphere Web クライアント、vSphere クライアントの使用方法、ネットワークやストレージなどのハードウェア・リソースの割り当て方法についての知識が含まれますが、これに限られません。
- 以下の 2 つの方法のいずれかを使用して、レプリケーションを一時停止または停止します。
AltaVault OVA をデプロイする
すべての前提条件を満たしたら、ユーティリティー・サーバーを使用して AltaVault の OVA を vSphere 環境にデプロイします。 OVA デプロイメントの手順については、 NetApp AltaVault Installation and Service Guide を参照してください。
AltaVault の評価版は、仮想 CPU 4 つ、メモリー 6 GB、1 次ディスク 150 GB で構成されています。 「Installation and Service Guide」を使用して、以下の手順を実行します。
- メモリーの容量を 24 GB に増やします。
- 重複排除されたバックアップ・データを保管するために、8 TB 以下の 2 次ディスク・ストレージ・デバイスを追加します。
- メモリーとディスクの構成を変更したら、別のポータブル・プライベート・ネットワークを AltaVault アプライアンスに割り当てます。
NIC には、以下のインターフェース機能が割り当てられます。
- プライマリー: AltaVault アプライアンスの管理とクラウドへのデータ・レプリケーションに使用されます。 この環境例では、**「Primary Network」**ポート・グループに割り当てられます。
- e0a: AltaVault アプライアンスからクラウドにデータを複製するために使用されるオプションのインターフェース。
- e0b: SMB/CIFS 共有または NFS 共有のマウント・ポイントをエクスポートするために使用されるインターフェース。 この環境例では、**「Share Network」**ポート・グループに割り当てられます。
- e0c: SMB/CIFS 共有または NFS 共有のマウント・ポイントをエクスポートするために使用されるオプションのインターフェース。
この手順の構成例では、AltaVault アプライアンスは、クラウドへのレプリケーション用のインターフェースとしてプライマリー・インターフェースを使用し、CIFS/SMB マウント・ポイントのエクスポート用に e0b インターフェースを使用します。 注: 同じデータへのアクセスに CIFS/SMB 共有と NFS 共有の両方を使用することはできません。 使用するプロトコルは、オンプレミス AltaVault アプライアンスでクラウドにデータを複製するのに使用しているのと同じプロトコルでなければなりません。
For more information on the deployment of the AltaVault appliance and configuration of the VM settings, see NetApp AltaVault Installation and Service Guide .
AltaVault アプライアンスを構成する
-
AltaVault VM を構成したら、電源を入れることができます。 AltaVault アプライアンスが補助ストレージ・ディスクをフォーマットするため、VM が起動するまでに時間がかかることがあります。
-
アプライアンスがブート・プロセスを完了したら、**「Username」に admin、「password」**に password を使用して、AltaVault コンソールにログインします。 これらの認証情報は、初期構成が完了した後に変更できます。 『表 1: AltaVault 初期構成値』を参照してください。
-
アプライアンスにログインした後、構成ウィザードを使用するかどうかを尋ねられます。 y と入力します。
-
ウィザードが開始したら、表 1 の情報を使用します。
-
Enter キーを押して変更を保存します。
質問 | 回答 |
---|---|
ステップ 1: 管理者パスワードは? | 新しい管理者パスワードを入力します (**「password」**は使用できません)。 |
Step 2: Hostname? | 適切なホスト名を入力します。 |
ステップ 3: 基本インターフェースで DHCP を使用しますか? | n または no と入力します。 |
Step 4: Primary IP Address? | プライマリー・ネットワーク IP アドレスを入力します。 この構成例では、この IP アドレスは管理インターフェースに使用されるネットワーク (例えば、10.120.108.132) です。 |
ステップ 5: ネットマスクは? | ネットマスクを入力します (例: 255.255.255.192)。 |
ステップ 6: デフォルト・ゲートウェイは? | デフォルト・ゲートウェイを入力します (例: 10.120.108.129)。 |
ステップ 7: プライマリー DNS サーバーは? | 自分の環境のプライマリー・ドメイン・ネーム・システム (DNS) サーバーを入力します。 |
ステップ 8: ドメイン名は? | 使用環境のドメイン名を入力します (例: testenv.org)。 |
AltaVault に IBM Cloud Object Storage を設定する
AltaVault アプライアンスは、セットアップ後に IBM Cloud Object Storage サービスに接続する必要があります。 オンプレミス構成では、パブリック DNS を使用して Object Storage サービスに接続します。 この構成では、代わりに内部 DNS 名を使用します。
- Web ブラウザーを開き、AltaVault アプライアンスの IP アドレスを入力します。
- 管理者の資格情報を使用して、コンソールにログインします。 初回ログイン時に、**「Wizard Dashboard」**が表示されます。
- **「System Settings」**を選択し、すべてのネットワーク設定が正確であることを確認して、使用環境のタイム・ゾーンを表すようにタイム・ゾーンを調整します。
- **「Next」>「Save and Apply」>「Exit」**を選択します。 **「Wizard Dashboard」**に戻り、現在のブラウザー・セッションからログアウトします。
- AltaVault アプライアンスに再度ログインし、**「Settings」>「Setup Wizard」>「Import Configuration」**をクリックし、オンプレミスの AltaVault アプライアンスの構成ファイルの場所を指定します。
- **「Import Shared Data Only」**を選択します。クラウドや E メールの設定など、共通設定のみがインポートされます。
- オンプレミス AltaVault アプライアンスの作成時に暗号キーのパスフレーズを指定した場合は、そのパスフレーズを**「Key Passphrase」**テキスト・ボックスに入力します。
- **「Import Configuration」>「Exit」**をクリックします。
これで、オンプレミス AltaVault アプライアンスの構成を IBM Cloud AltaVault アプライアンスが正常にインポートされました。
以下の手順を使用して、プライベート・ネットワーク経由で {{site.data.keywrod.cloud_notm}} サービスにアクセスできるように IBM Cloud Object Storage AltaVault アプライアンスのクラウド設定を変更します。
- AltaVault で**「Storage」>「Cloud Settings」>「Cloud」**に移動し、IBM Cloud Object Storage サービスのプライベート・アドレスを表すホスト名を変更します。
- プライベート・ネットワーク名の構文は次のとおりです。
.objectstorage.service.networklayer.com、ここで は、短縮されたデータ・センター名を指定します (例: メルボルン 01 データ・センターの場合は mel01)。
- プライベート・ネットワーク名の構文は次のとおりです。
- **「適用」**をクリックします。 AltaVault アプライアンスが、IBM Cloud Object Storage サービスへの接続を試行します。 この接続の試行が失敗する場合は、クラウド・プロバイダー設定が正しいことを確認してから、接続を再試行してください。
IBM Cloud Object Storage に接続したら、アプライアンスをリカバリー・モードにして、IBM Cloud Object Storage から元のバックアップ・データのメタデータ・コンテンツを同期する必要があります。
AltaVault アプライアンスをリカバリー・モードにするには、以下の手順を使用します。
AltaVault アプライアンスは、IBM Cloud Object Storage からデータを同期します。 注: この同期にかかる時間は、リストアされるバックアップのサイズと数に応じて異なります。
- AltaVault アプライアンスに移動し、ログインして、図 3 に示すコマンドを入力します。
Figure 5: Recovery mode commands
- 同期プロセスが完了したら、AltaVault アプライアンスの Web コンソールに戻ります。
- **「Storage Optimization Service」が「running」で、「Status」が「ready」**であることを確認します。 **「Status」が「ready」**に変わるまで数分かかることがあります。
AltaVault に CIFS/SMB マウント・ポイントを設定する
IBM Cloud Object Storage への内部接続を確立したら、CIFS/SMB マウント・ポイントにアクセスするように e0b インターフェースを構成します。
- AltaVault Web コンソールで**「Settings」>「Data Interfaces」**に移動します。
- 必要に応じて、e0b インターフェースを展開して**「Enable Data Interface」**を選択します。
- CIFS/SMB 共有のマウントに使用する IP アドレス、サブネット・マスク、およびゲートウェイを入力します。 必ず、プライマリー・インターフェースとは別のサブネットを使用してください。
- **「MTU」**のデフォルト値の 1500 バイトをそのまま残します。
- デフォルトの最大伝送単位 (MTU) は 1,500 ですが、ジャンボ・フレームを使用する場合は 9,000 に変更できます。 ESXi ホストと物理インフラストラクチャーがジャンボ・フレームをサポートしている必要があります。 デフォルトで IBM Cloud は 9,000 バイトの MTU サイズをサポートするので、構成変更は必要ありません。
- **「適用」**をクリックします。
これで、AltaVault アプライアンス、IBM Cloud Object Storage、および Veeam Backup & Replication の間で通信するための設定が AltaVault アプライアンスに構成されました。
Veeam Backup & Replication
Veeam Backup & Replication ソフトウェアは、VM とそのデータ用のバックアップ、複製、リカバリーの包括的な機能を提供します。 Veeam Backup & Replication は、AltaVault クラウド・ゲートウェイ・アプライアンスを完全に統合できるので、シームレスなバックアップとリカバリーエクスペリエンスを実現します。
Veeam Backup & Replication のデプロイ
この例では、Veeam Backup & Replication バージョン 8 の評価版を使用しています。
前提条件
デプロイメントに進む前に、以下の前提条件が満たされていることを確認してください。
- IBM Cloud Object Storage および Veeam Backup & Replication で使用するよう構成した既存の AltaVault アプライアンスがある。
- VMware 環境用の Veeam Backup & Replication のコピーを取得します。これは単一の実行可能ファイルです。 Veeam 担当員に連絡して、 30 日間の評価版
をコピーまたはダウンロードしてください。
- Veeam Backup & Replication とともに使用するライセンス・ファイルを入手します。 ほとんどの場合、このファイルは、Veeam Backup & Replication のダウンロードに使用した E メール・アドレスに宛てにメールで送信されます。 このファイルを受信していない場合は、Veeam 担当員にお問い合わせください。
The license file is used to activate full Veeam Backup & Replication functionality. プログラムのインストール時にこのファイルを指定しない場合は、すべてのフィーチャーおよび機能が 30 日間の評価版に戻されます。 - IBM Cloud® にプロビジョンされている仮想サーバー・インスタンスに表 2 の仕様を使用します。 注: インストールされているオペレーティング・システムは 64 ビット・バージョンでなければなりません。
最小 | 推奨 | |
---|---|---|
OS | 対応する Windows サーバー | |
コアまたは vCPU の数 | 2 | 4 |
メモリー | 基本の RAM 4 GB に加えて、同時に実行するバックアップ/リストアのジョブごとに 500 MB。 | 基本の RAM 16 GB に加えて、同時に実行するバックアップ/リストアのジョブごとに 4 GB。 |
ディスク・スペース | 製品インストール用に 2 GB、ゲスト・システム・カタログ・フォルダー (永続データ) 用に VM 100 台あたり 10 GB。 | 製品インストール用に 2 GB、ゲスト・システム・カタログ・フォルダー (永続データ) 用に VM 100 台あたり 10 GB。 |
ネットワーク | オンサイトのバックアップとレプリケーション用に 1 Gbps LAN、オフサイトのバックアップとレプリケーション用に 1 Mbps WAN。 | オンサイトのバックアップとレプリケーション用に 1 Gbps LAN、オフサイトのバックアップとレプリケーション用に 1 Mbps WAN。 |
AltaVault アプライアンスおよび vSphere 環境と同じデータ・センター内に仮想サーバー・インスタンスをプロビジョンします。 この仮想サーバー・インスタンスは AltaVault アプライアンスと vCenter にアクセスできる必要があります。
Veeam Backup & Replication をインストールする
すべての前提条件が満したら、以下の手順を使用して、Veeam Backup & Replication を IBM Cloud 仮想サーバー・インスタンスにインストールします。
- プログラム・ファイルをダブルクリックし、「Veeam Backup & Replication - Install」 をクリックします。 セットアップ・ウィザードが開きます。
- **「Next」をクリックし、「I accept the terms in the license agreement」**を選択します。
- 「Next」 をクリックし、「Deploy Veeam Backup & Replication」の下に、取得したライセンス・ファイルの場所を指定します。
- 「Next」 をクリックし、インストールする Veeam Backup & Replication コンポーネントと、それらのインストール場所を 「Program Features」 画面で選択します。 注: 「Veeam Backup & Replication」 および 「Veeam Backup Catalog」 が必須コンポーネントです。
- 次へ をクリックします。
セットアップ・ウィザードにより、すべての必須プログラム・フレームワークとサポート・コンポーネントが確実にインストールされるように一連の検査が実行されます。 コンポーネントが不足している場合は、セットアップウィザードがインストールを提案します。
- すべてのコンポーネントがシステム検査で**「Passed」になっていることを確認して、「Next」**をクリックします。
- **「Service (user) Account」**で Veeam バックアップ・サービスを実行するサービス・アカウントを選択します。 デフォルトのサービス・アカウントは LOCAL SYSTEM account です。 次へ をクリックします。
- Veeam Backup & Replication データベースを作成して保管するために使用する SQL Server インスタンス を選択します。 詳しくは、データベース管理者にお問い合わせください。 **「次へ」**をクリックします。
- カタログ・サービス・ポート (9393) および Veeam バックアップ・サービス・ポート (9392) を入力します。 次へ をクリックします。
- ゲスト・ファイル・システム・カタログ (永続データ) および vPower NFS 書き込みキャッシュ (非永続データ) を保管するディレクトリーを選択します。 次へ をクリックします。
- すべての設定および値が正しいことを確認して、**「Install」をクリックします。 インストールが完了したら、「Finish」**をクリックします。
Veeam Backup & Replication の構成
Veeam Backup & Replication をインストールしたら、AltaVault アプライアンスに接続できます。
- Veeam Backup & Replication を始動します。
- 画面の右下にある**「Backup Infrastructure」**をクリックします。
- **「Backup Infrastructure」ウィンドウで、「Managed Servers」>「Managed servers」**をクリックします。
- リボン・メニューから**「Add Server」をクリックし、「VMware vSphere」**をダブルクリックします。
- vSphere サーバーのプライベート IP アドレスを入力し、**「Next」**をクリックします。
- 前に指定した vSphere サーバーに対する管理者権限を持っているローカル・アカウントのアカウント認証情報を入力します。 注: アカウントのユーザー名は、ドメイン・アカウントの場合は DOMAIN\USER 形式、ローカル・アカウントの場合は HOST\USER 形式にする必要があります。 アカウントを追加するには、**「Add」**をクリックして、適切なユーザー名とパスワードを入力します。 ネットワーク管理者から指示されない限り、デフォルトの
VMware Web サービス・ポートを変更しないでください。 次へ をクリックします。
- Veeam Backup & Replication は、vSphere サーバーへの接続を試行します。 接続の試行が失敗する場合は、アカウントが存在していて vSphere サーバーに対する管理者特権を持っていることを確認してから、再試行してください。
- 「完了 (Finish)」 をクリックします。
- **「Managed Servers」>「VMware vSphere」**をクリックして、vSphere サーバーが正常に追加されたことを確認します。
Veeam Backup & Replication へのバックアップ・リポジトリーの追加
以下の手順に従って、リストアするバックアップを AltaVault アプライアンスに保管するための新規バックアップ・リポジトリーを作成します。 注: この例では、Veeam Backup & Replication バックアップ・サーバーを、Windows を実行するコンピューターでホストしているので、CIFS/SMB 共有を使用します。 IBM Cloud AltaVault アプライアンスでバックアップのリストアに使用する共有プロトコルは、オンプレミスの AltaVault アプライアンスで同じバックアップに使用している共有プロトコルと同じものでなければなりません (CIFS/SMB 共有が使用されます)。
- 左下にある**「Backup Infrastructure」>「Backup Repositories」**をクリックします。
- リボン・メニューから、**「Add Repository」**をクリックします。
- **「Name」でリポジトリーに固有の名前を付け、「Description」**に適切な説明を入力します。 次へ をクリックします。
- オンプレミス AltaVault アプライアンスで使用している共有のタイプに対応する共有のタイプを選択します。 例: オンプレミスの AltaVault アプライアンスで使用している共有タイプが CIFS/SMB である場合は、**「Shared folder」**を選択します。
- リストアする CIFS/SMB 共有のバックアップが置かれている AltaVault アプライアンス上の場所を指定します。 共有には、オンプレミス AltaVault アプライアンスでバックアップの処理に使用された共有と同じ名前が付けられます。 例えば、オンプレミス AltaVault アプライアンスでバックアップに
cifs_test1
という共有を使用した場合は、IBM Cloud AltaVault アプライアンス上のcifs_test1
共有の場所を指定してください。- 場所を調べるために、Web ブラウザーを開き、AltaVault アプライアンスの IP アドレスを入力します。
- **「Storage」>「CIFS」に移動し、共有の「Share Path」**を書き留めます。 注: これは共有のローカル・パスとは同じではありません。 共有パスの形式は
\\<AltaVault appliance hostname>\<share name>
です。 「Share Path」の AltaVault アプライアンスのホスト名を、AltaVault アプライアンスの e0b ネットワーク・インターフェースの IP アドレス (共有のマウント・ポイント) に置き換えます。 - AltaVault アプライアンス管理ウィンドウで**「Settings」>「Data Interfaces」**をクリックし、e0b インターフェースの IP アドレスを見つけます。 IFS/SMB マウントの構成について詳しくは、『AltaVault に CIFS/SMB マウント・ポイントを設定する』を参照してください。
- Veeam Backup & Replication で指定する共有パスは
\\10.120.108.133\cifs_test1
であり、\\restore-appliance\cifs_test1
ではありません。
- Veeam Backup & Replication に戻り、「Shared folder」 フィールドにマウント・ポイントの共有パスを入力し、「Next」 をクリックします。 Veeam Backup & Replication は、マウント・ポイントとの接続確立が試行されます。 接続が失敗する場合は、前に戻って AltaVault アプライアンスのネットワーク設定が正しいことを確認してから、再試行してください。
- **「New Backup Repository」画面で、「Limit maximum concurrent」**に使用可能なリソース数の値を入力します。 この値は、選択された共有にバックアップ・プロキシーが送信できるタスクの最大数です。 同時タスクのデフォルトの数は 4 です。 AltaVault は、5 個の同時タスクから開始して、リソースの状況に応じてこの値を増減することをお勧めしています。
- 次へ をクリックします。
- **「vPower NFS」**画面でオプションの vPower NFS 設定を指定します。 「Enable vPower NFS server」 のチェック・ボックスが選択されていない場合、Veeam Backup & Replication はリカバリーとリカバリー検証に vPower を使用します。 次へ をクリックします。
- VM バックアップの手動選択を使用する場合を除き、**「Import existing backups automatically」**を選択します。
- すべての設定が正しいことを確認し、**「Next」**をクリックします。
- **「Finish」**をクリックして、ウィザードを終了します。
- **「Yes」**をクリックして先に進みます。
Veeam Backup & Replication が構成され、バックアップのリストアを開始できます。
環境のリストア
以下の手順に従って、VM を完全にリストアします。
- 画面の左下にある 「Backup & Replication」 をクリックします。
- リボン・メニューから、**「Restore」**をクリックします。
- **「Entire VM (including registration)」**を選択します。 注: **「Restore from replica」**では何も選択しないでください。 次へ をクリックします。
- **「Add VM」>「From Backup」**をクリックします。 オンプレミスの AltaVault アプライアンスおよび選択した CIFS/SMB 共有を介してこれまで IBM Cloud Object Storage に複製された VM が表示されます。 **「Add」>「Next」**をクリックします。
- Restore to a new location(新しい場所にリストアする)を選択するか、異なる設定でVMを新しい場所にリストアする。 **「次へ」**をクリックします。
- **「Host」画面で、リストアする各 VM のターゲット・ホストを選択します。 VM を選択してから「Host」**をクリックします。
- **「Select Host」でターゲット・ホストを選択し、「OK」をクリックします。
Veeam Backup & Replication attempts to contact the target hosts to make sure that they are online and ready to receive data. この試行が失敗する場合は、すべてのネットワーク設定が正しいことを確認してから、再試行してください。 検査が完了したら、「Next」**をクリックします。 - VM ごとにオプションの**「Resource Pool」**を選択します。 **「次へ」**をクリックします。
- リストアする各 VM のターゲット・データ・ストアとディスク・タイプを選択します。 次へ をクリックします。
Veeam Backup & Replication attempts to validate the target data stores. 検証に失敗した場合は、リストアする VM 用の十分な容量がデータ・ストアにあることを確認し、すべてのネットワーク設定を確認してから接続を再試行してください。 - リストアする VM ごとに、ターゲット・データ・ストアの宛先フォルダーを選択します。 次へ をクリックします。
- VM ごとにネットワーク接続および設定を指定します。 次へ をクリックします。
- オプションの**「Restore reason」**に、リストア操作を実行する理由を入力します。 **「次へ」**をクリックします。
Veeam Backup & Replication attempts to validate the VMs that you are restoring. この検証が正常に終了するのを待ってから先に進みます。 - Backup & Replication」 ウィンドウでリストア操作と設定を確認し、「Finish」 をクリックします。 Veeam Backup & Replication が、選択した VM のリストアを自動的に開始します。
次のステップ
このハイブリッド・ソリューションのコンポーネントについて詳しくは、以下の情報を参照してください。
ユーティリティー・サーバー とは、プライベート環境へのアクセスに使用する VMware vSphere Client が含まれているサーバーを指します。これを使用して、データ・リカバリー操作用の AltaVault アプライアンスをデプロイします。