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クラシック・インフラストラクチャー上のベアメタルに RHEL を使用して SAP NetWeaver をデプロイする

クラシック・インフラストラクチャー上のベアメタルに RHEL を使用して SAP NetWeaver をデプロイする

クイック・スタディーで新しいことをすぐに学ぶことができます。

これらのクイック・スタディー・チュートリアルでは、学習のペースを上げるためにハンズオン・タスクを希望するお客様向けの概要として、詳細な説明が記載されていない単一のサンプル構成を提供します。

以下の情報は、クラシック・インフラストラクチャー環境を初めて使用するお客様のために、概要を説明するものです。 注文工程から SAP のインストールを開始するまでの作業に役立つサンプル構成を 2 つ紹介します。

最初の構成サンプルは、 Red Hat Enterprise Linux® (RHEL)を搭載したシンプルなシングルノード32GB RAMサーバーです。 2 つ目は、そのランドスケープに 2 台目の仮想サーバー (Red Hat Enterprise Linux (RHEL) を使用した 192 GB RAM の仮想サーバー) を追加してノード 2 台にした拡張構成です。

外部ストレージをセットアップする方法を示す例 (どちらのサンプル構成にも適用できます) も記載しています。

これらのサンプルのレイアウトは、おそらくお客様の希望するレイアウトではないはずです。 このガイダンスの目的は、2 つの可能性を示すことです。 実際のインストールは、お客様のビジネス要件と SAP のインストール資料に従う必要があります。

ホスト 1 台の環境のために 32 GB サーバーをプロビジョンする

  1. 固有の認証情報を使用して IBM Cloud コンソールにログインします。
  2. 「作成」>「コンピュート」>「インフラストラクチャー」>**「Bare Metal Server」**をクリックします。
  3. 「続行」 をクリックします。 **「続行 (Continue)」**をクリックできない場合は、サーバーを作成するための適切な権限を持っていません。 権限についてシステム管理者に確認してください。
  4. 「数量」フィールドは「1」**のままにしておきます。
  5. 「ホスト名」フィールドに「e2e1270」と入力します。 ホスト名は、サーバーの永続的または一時的な名前です。 具体的なフォーマットについては、「情報」**をクリックしてください。
  6. 「ドメイン」フィールドに「mycloud.com」と入力します。 ドメインは、インターネット内の管理制御を定義する識別文字列です。 具体的なフォーマットについては、「情報」**をクリックしてください。
  7. **「請求処理」*はデフォルトで「毎月」*に設定されています。 現時点では、SAP 認定サーバーに 1 年契約と 3 年契約を使用することはできません。
  8. **「場所」**の下に表示されるデータ・センターは、特定のデータ・センター内の製品の可用性によって異なります。 *「北米東部 TOR01-トロント (NA East TOR01-Toronto)」*を選択します。
  9. 「すべてのサーバー」 > **「SAP 認定」**をクリックします。

サーバーの構成

  1. *「CPU モデル」で「BI.S3.NW32 (OS Options)」*を選択します。 サーバー名の意味の解釈方法について詳しくは、Bare Metal Servers のコンソールを使用した IBM Cloud のプロビジョニングを参照してください。

  2. **「RAM」**は、デフォルトでお客様の選択に基づいた事前定義値になるため、変更することはできません。

  3. オプションで**「SSH 鍵」**に公開鍵を入力します。プロビジョンした後に、これを使用してサーバーにログインできます。 デフォルトは、*「なし」*です。

  4. 「イメージ」 (OS) として**「Red Hat」**を選択します。 デフォルトは、*「7.x (64 bit)」*です。

    OS のライセンスを持ち込む (BYOL) 場合は、*「OS なし」*を選択します。 詳しくは、『所有ライセンスの導入』を参照してください。

ストレージ・ディスクの追加

  1. **「タイプ」**で、RAID 10 を選択します。
  2. 「ディスク」「ホット・スペア (Hot Spare)」、および**「ディスク・メディア」には、デフォルト値があります。 必要なストレージの合計量をカバーする「ディスク・サイズ」**を選択します。
  3. メニュー・アイコン メニュー・アイコン > 拡張構成 をクリックして、コントローラー をクリアしたままにします。 **「OK」**をクリックします。

ネットワーク・インターフェース

  1. 「アップリンク・ポート速度」「1 Gbps 冗長パブリックおよびプライベート・ネットワーク・アップリンク (1 Gbps Redundant Public and Private Network Uplinks)」**を選択します。
  2. 表 1 の値を以下のフィールドで選択します。
32 GB ネットワーク・インターフェースの値
フィールド
プライベート VLAN tor01.bcr01a.1241
パブリック VLAN tor01.fcr01a.851
プライベート・サブネット 10.114.63.64/26
パブリック・サブネット 158.85.65.224/28
  1. 他のすべてのフィールドはデフォルト値のままにします。

  2. 発注要約を確認します。

  3. **「以下のサード・パーティー・サービス契約を読み、同意します」**をクリックします。

    サーバーを作成したり、後でプロビジョニングするために注文を見積もりとして保存したり、注文を見積もりに追加したりできます (見積もりには複数のサービスを含めることができます)。

  4. **「作成」**をクリックすると、注文が検証された後、「チェックアウト (Checkout)」ページにリダイレクトされます。

注文番号を示すページにリダイレクトされます。 このページが注文の受領書です。控えとしてコピーを印刷してください。 また、IBM Cloud 注文 ## が承認されましたという件名の確認 E メールも受信します。 ## はお客様のオーダー番号です。

注文に応じて、注文を送信してから 1 時間から 4 時間以内にサーバーが使用できる状態になります。 プロビジョニング・ステップの状況については、IBM Cloud コンソール (メニュー・アイコン メニュー・アイコン > リソース・リスト > デバイス) からデバイスの詳細を確認できます。 お客様のデバイスのホスト名とドメインに一致する**「デバイス名」**をクリックして、デバイスの状況を確認してください。

所有ライセンスの持ち込み

オペレーティング・システムのライセンスを自分で所有している場合は、ベンダーの指示に基づいて、Bare Metal Servers にそのライセンスをインストールします。 詳しくは、OS なしオプションを参照してください。

サーバーへのアクセス

リモート・アクセスには、パブリック IP を使用します。そのため、ssh クライアント (例えば、Microsoft Windows の PuTTY など) を使用してサーバーに接続できます。 「デバイス・リスト」(**「デバイス」**メニュー下) に表示されるデバイスのパブリック IP アドレスを使用してください。 サーバーの root パスワードも表示されます。 **「パスワードを表示する」**をクリックして表示します。

パーティショニングとファイル・システム

単一ノードのサンプルでは、RAID 1 の論理ディスクを 1 つ搭載したサーバーを注文しました。 サーバーにはオペレーティング・システム (OS) 用のミラーリングされたディスク 1 台と、そのディスクの総量 (プラス /boot 用の使用量) に等しい大きなルート・ファイル・システム 1 つがあります。 このサンプルのファイル・システムのレイアウトは、単なる 1 つの方法に過ぎません。 実動に使用する場合は、他のレイアウトのほうがお客様のニーズや SAP 要件をより的確に満たす可能性があるので、お客様のシステムのサイジング情報に従ってください。

  1. SAP のインストールに必要な 3 つのディレクトリー、/sapmnt/usr/sap、および /db2 を作成します。
[root@e2e1270 ~]# mkdir /sapmnt
[root@e2e1270 ~]# mkdir /usr/sap
[root@e2e1270 ~]# mkdir /db2

これで、ご使用の IBM Cloud® Bare Metal Servers を外部ストレージと SAP アプリケーションおよびソフトウェアのインストールに使用する準備ができました。

3 層環境のために 192 GB サーバーと 32 GB サーバーをプロビジョンする

3 層環境は、データベース・サーバーに 192 GB サーバーを使用し、SAP NetWeaver アプリケーション・サーバーに 32 GB サーバーを 使用する、より複雑なシナリオです。

SAP NetWeaver アプリケーション・サーバーの注文

ホスト 1 台の環境のために 32 GB サーバーをプロビジョンすると同じ手順に従って、SAP NetWeaver アプリケーション・サーバーを注文します。

データベース・サーバーの注文

以下の手順を使用して、SAP 認定サーバーをデータベース・サーバーとして注文します。

  1. IBM Cloud® コンソール)に固有の認証情報でログインする。
  2. 「リソースの作成」 > 「コンピュート」 > **「Bare Metal Server」**をクリックします。
  3. 続行 (Continue) をクリックします。 **「続行 (Continue)」**をクリックできない場合は、サーバーを作成するための適切な権限を持っていません。 権限についてシステム管理者に確認してください。
  4. 「数量」フィールドは「1」**のままにしておきます。
  5. 「ホスト名」フィールドに「sdb192」と入力します。 ホスト名は、サーバーの永続的または一時的な名前です。 具体的なフォーマットについては、「情報」**をクリックしてください。
  6. 「ドメイン」フィールドに「mycloud.com」と入力します。 ドメインは、インターネット内の管理制御を定義する識別文字列です。 具体的なフォーマットについては、「情報」**をクリックしてください。
  7. **「請求処理」*はデフォルトで「毎月」*に設定されています。 現時点では、SAP 認定サーバーに 1 年契約と 3 年契約を使用することはできません。
  8. **「場所」**の下に表示されるデータ・センターは、特定のデータ・センター内の製品の可用性によって異なります。 *「北米東部 TOR01-トロント (NA East TOR01-Toronto)」*を選択します。
  9. 「すべてのサーバー」 > **「SAP 認定」**をクリックします。

データベース・サーバーの構成

以下の手順に従って、データベース・サーバーと OS を構成します。

  1. *「CPU モデル」で「BI.S3.NW192 (OS Options)」*を選択します。 サーバー名の意味の解釈方法について詳しくは、Bare Metal Servers のコンソールを使用した IBM Cloud のプロビジョニングを参照してください。

  2. **「RAM」**は、デフォルトでお客様の選択に基づいた事前定義値になるため、変更することはできません。

  3. オプションで**「SSH 鍵」**に公開鍵を入力します。プロビジョンした後に、これを使用してサーバーにログインできます。 デフォルトは、*「なし」*です。

  4. 「イメージ」 (OS) として**「Red Hat」**を選択します。 デフォルトは、*「7.x (64 bit)」*です。

    OS のライセンスを持ち込む (BYOL) 場合は、イメージとして*「OS なし」*を選択します。 詳しくは、『所有ライセンスの導入』を参照してください。

ストレージ・ディスクの追加

以下の手順を使用して、データベース・サーバーに 2 つ目の 2 TB の SATA ドライブを追加します。

  1. ディスク 1の場合、メニュー・アイコン メニュー・アイコン > 拡張構成 > をクリックし、1 次ディスク・パーティション** がデフォルトの Windows 基本に設定されていることを確認します。 「OK」 をクリックします。
  2. **「新規追加」**をクリックします。
  3. 「ディスク」「ホット・スペア (Hot Spare)」、および**「ディスク・メディア」には、デフォルト値があります。 必要なストレージの合計量をカバーする「ディスク・サイズ」**を選択します。

ネットワーク・インターフェースのセットアップ

以下の手順を使用して、データベース・サーバーのネットワーク・インターフェースをセットアップします。

  1. アップリンク・ポート速度1 Gbps 冗長パブリック & プライベート・ネットワーク・アップリンクを選択します。

  2. 表 1 の値を以下のフィールドで選択します。

    データベース・サーバーのネットワーク・インターフェースの値は、アプリケーション・サーバーの値と同じにしてください。

192 GB ネットワーク・インターフェースの値
フィールド
プライベート VLAN tor01.bcr01a.1241
パブリック VLAN tor01.fcr01a.851
プライベート・サブネット 10.114.63.64/26
パブリック・サブネット 158.85.65.224/28
  1. 他のすべてのフィールドはデフォルト値のままにします。

  2. 発注要約を確認します。

  3. **「以下のサード・パーティー・サービス契約を読み、同意します」**を選択します。

    サーバーを作成したり、後でプロビジョニングするために注文を見積もりとして保存したり、注文を見積もりに追加したりできます (見積もりには複数のサービスを含めることができます)。

  4. **「作成」**をクリックすると、注文が検証された後、「チェックアウト (Checkout)」ページにリダイレクトされます。

注文番号を示すページにリダイレクトされます。 このページが注文の受領書です。控えとしてコピーを印刷してください。 また、IBM Cloud 注文 ## が承認されましたという件名の確認 E メールも受信します。 ## はお客様のオーダー番号です。

注文に応じて、注文を送信してから 1 時間から 4 時間以内にサーバーが使用できる状態になります。 プロビジョニング・ステップの状況については、IBM Cloud コンソール (メニュー・アイコン メニュー・アイコン > リソース・リスト > デバイス) からデバイスの詳細を確認できます。 お客様の所定のホスト名とドメインに一致する**「デバイス名」**をクリックして、デバイスの状況を確認してください。

所有ライセンスの持ち込み

オペレーティング・システムのライセンスを自分で所有している場合は、ベンダーの指示に基づいて、Bare Metal Servers にそのライセンスをインストールします。 詳しくは、OS なしオプションを参照してください。

サーバーへのアクセス

リモート・アクセスには、パブリック IP を使用します。そのため、ssh クライアント (例えば、Microsoft Windows の PuTTY など) を使用してサーバーに接続できます。 「デバイス・リスト」(「クラシック・インフラストラクチャー」>「デバイス」) に表示されているデバイスのパブリック IP アドレスを使用してください。 サーバーの root パスワードも表示されます。 **「パスワードを表示する」**をクリックして表示します。

パーティショニングとファイル・システム

この 3 層の例では、(RAID10 の) 論理ディスクを 1 台搭載した 192 GB データベース・サーバーと、(RAID 1 の) 論理ディスクを 1 台搭載した 32 GB アプリケーション・サーバーを注文しました。 どちらのサーバーにも、合計ディスク・サイズ (および /boot に使用されるいくらかのスペース) に相当する 1 つの大きなルート・ファイル・システムが付属しています。

32 GB サーバーには、/usr/sap/ ファイル・システムを作成します。 ファイル・システム sapmnt1/usr/sap/trans はデータベース・サーバー上に作成されます。 ネットワーク・ファイル・システム (NFS) は、Advanced Business Application Programming (ABAP) SAP Central Service [(A) SCS] インスタンスもホストするデータベース・サーバーからエクスポートされます。

次のファイル・システム・レイアウトは、1 つの方法として考えられるものです。 実動に使用する場合は、他のレイアウトのほうがお客様のニーズや SAP 要件をより的確に満たしていたり、割り当て量を使用したりするので、お客様のシステムのサイジング情報に従ってください。

以下のコマンドを使用して、SAP ソフトウェアのインストールに必要なディレクトリー /sapmnt/usr/sap/db2 を作成します。

[root@ sdb192 ~]# mkdir /sapmnt
[root@ sdb192 ~]# mkdir /usr/sap
[root@ sdb192 ~]# mkdir /db2

3 層セットアップ用のネットワークの準備

3 層セットアップのインストールを計画している場合は、ネットワークを正しくセットアップする必要があります。 この例では、192 GB のデータベース・サーバー (名前は「sdb192」) と、32 GB のアプリケーション・サーバー (名前は「e2e1270」) をデプロイしました。 データベース・サーバーは、(A)SCS インスタンスもホストしています。 プライベート・ネットワークの IP アドレスを /etc/hosts に追加すると、以後のステップに役立ち、SAP 内部のネットワーク・トラフィックが正しいネットワークを経由することが保証されます。

図 1. 3層セットアップのサンプル
3層セットアップのサンプル

以下のステップを使用して、ネットワークを確立します。

  1. サーバーにログインして、それらのサーバーのプライベート・ネットワーク構成を検出します。
[root@sdb192 ~]# ifconfig bond0
    bond0	  Link encap:Ethernet  HWaddr 0C:C4:7A:66:2D:A8
            inet addr:10.17.139.35  Bcast:10.17.139.63 Mask:255.255.255.192
            inet6 addr: fe80::ec4:7aff:fe66:2da8/64 Scope:Link
            UP BROADCAST RUNNING MASTER MULTICAST  MTU:1500  Metric:1
            RX packets:128080 errors:0 dropped:0 overruns:0 frame:0
            TX packets:25491 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0
            collisions:0 txqueuelen:0
            RX bytes:19137850 (18.2 MiB)  TX bytes:3426015 (3.2 MiB)
[root@sdb192 ~]# ifconfig bond1
    bond1	  Link encap:Ethernet  HWaddr 0C:C4:7A:66:2D:A9
            inet addr:208.43.211.118  Bcast:208.43.211.127 Mask:255.255.255.224
            inet6 addr: fe80::ec4:7aff:fe66:2da9/64 Scope:Link
            UP BROADCAST RUNNING MASTER MULTICAST  MTU:1500  Metric:1
            RX packets:289610 errors:0 dropped:0 overruns:0 frame:0
            TX packets:109371 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0
            collisions:0 txqueuelen:0
            RX bytes:31216160 (29.7 MiB)  TX bytes:18591947 (17.7 MiB)

この 3 層の例では、10.17.139.35 がデータベース・サーバーのプライベート IP アドレスです。これは RFC 1597 からの IP アドレス範囲の 1 つから取られています。 アプリケーション・サーバーの IP アドレスを判別して、両方の IP アドレスを両方のサーバーの /etc/hosts に追加することもできます。

[root@sdb192 ~]# cat /etc/hosts

127.0.0.1 localhost.localdomain localhost
208.43.211.118 e2e2690.saptest.com e2e2690

10.17.139.35    sdb192-priv
10.17.139.46    e2e1270-priv

最後の 2 行を e2e1270 にも追加します。

NFS ソフトウェアのインストール

  1. NFS ソフトウェア nfs-utils両方のサーバーにインストールします。
[root@sdb192 ~]# yum install nfs-utils

rpcbind および NFS サービスをデータベース・サーバーで開始し、登録します。

[root@sdb192 ~]# service rpcbind start
[root@sdb192 ~]# chkconfig nfs on
[root@sdb192 ~]# service nfs start

NFS を使用したエクスポート

  1. NFS を使用して、/sapmnt および /usr/sap/trans をデータベース・サーバーからアプリケーション・サーバーにエクスポートします。これは、必要な項目をデータベース・サーバーの /etc/exports に追加することによって行います。
/sapmnt/C10		10.17.139.46(rw,no_root_squash,sync,no_subtree_check)
/usr/sap/trans	10.17.139.46(rw,no_root_squash,sync,no_subtree_check)

サンプル値の C10 は、ご使用の SAP システムの SAP システム ID に置き換える必要があります。 このディレクトリーを作成してから、エクスポートする必要があります。 データベース・サーバーのコマンド・ラインから、以下のコマンドを実行します。

[root@sdb192 ~]# mkdir /sapmnt/C10
[root@sdb192 ~]# mkdir -p /usr/sap/trans
[root@sdb192 ~]# exportfs -a

NFS 共有のマウント

  1. アプリケーション・サーバーの /etc/fstab に次の項目を追加してコマンド・ラインからマウントすることにより、アプリケーション・サーバーに NFS 共有をマウントします。
sdb192-priv:/sapmnt/C10 /sapmnt/C10 nfs defaults 0 0
sdb192-priv:/usr/sap/trans /usr/sap/trans nfs defaults 0 0
  1. アプリケーション・サーバー上にターゲット・ディレクトリーを作成して、マウントします。
[root@e2e1270 ~]# mkdir -p /sapmnt/C10
[root@e2e1270 ~]# mkdir /usr/sap/trans
[root@e2e1270 ~]# mount /sapmnt/C10
[root@e2e1270 ~]# mount /usr/sap/trans

これで、分散 SAP インストール環境のコンポーネントをホストするためのサーバーの準備は完了です。

サーバーへの外部ストレージの追加

プロビジョンされたサーバーに外部ストレージを追加できます。 テスト環境では、その外部ストレージをバックアップ・デバイスとして使用したり、スナップショットとして使用してデータベースを迅速にリストアしたりできます。 この 3 層の例では、データベースのアーカイブ・ログ・ファイルと、オンラインおよびオフラインのデータベース・バックアップの両方にブロック・ストレージを使用します。 バックアップ時間が確実に最小になるように、最速のブロック・ストレージ (1 GB あたり 10 IOPS) が選択されました。 それより低速のブロック・ストレージでもお客様のニーズに十分な場合があります。 IBM Cloud® Block Storage for Classic について詳しくは、Block Storage 入門を参照してください。

IBM Cloud ストレージ LUNS は、エンデュランスとパフォーマンスという 2 つのオプションを指定してプロビジョニングできます。 エンデュランス・ティアには、事前定義されたパフォーマンス・レベルと、スナップショットとレプリカの生成などの他の機能があります。 カスタムのパフォーマンスの環境は、100 から 1,000 までの範囲の 1 秒あたりの入出力操作 (IOPS) を割り当てて構築されます。

外部ストレージのセットアップ

  1. 固有の認証情報を使用して IBM Cloud コンソールにログインします。
  2. メニュー・アイコンメニュー・アイコンを展開し、クラシック・インフラストラクチャーを選択します。
  3. 「ストレージ」>「Block Storage」>*「Block Storage の注文 (Order Block Storage)」*の順に選択します。
  4. ストレージ必要量の明細を選択します。 表 1 には、「厳しいデータベース・ワークロードに対しては 10 IOPS/GB」などの推奨値が含まれています。
ブロック・ストレージの推奨値
フィールド
Location 米国南部、DAL10
請求方法 月次 (デフォルト)
サイズ 1000 GB
耐久性 (IOPS 層) 10 IOPS/GB
スナップショット・スペース 0 GB
OS タイプ Linux (デフォルト)
  1. 発注要約を確認します。
  2. **「次の使用条件を読みました。これに同意します (I have read and agree to the terms and conditions listed below)」**を選択します。
  3. 「作成」 をクリックします。

ホストの許可

  1. 「ストレージ」 > **「ブロック・ストレージ」**を選択します。

  2. LUN を強調表示して、アクション・メニューアクション・メニューを展開し、ホストの許可を選択します。

  3. 「デバイス・タイプ」として「Bare Metal Server」**を選択します。

  4. **「ハードウェア」**をクリックすると使用可能なデバイスが読み込まれるので、データベース・サーバーのホスト名を選択します。

  5. 保存 をクリックします。

  6. 「デバイス」 > (デバイスを選択) > **「ストレージ」**タブでプロビジョン済みストレージの状況を確認します。

  7. サーバー (iSCSI イニシエーター) のターゲット・アドレスと iSCSI 修飾名 (IQN)、および usernamepassword を、iSCSI サーバーによる許可のためメモしておきます。 以下のステップで、それらの情報が必要です。

    プロビジョニングについて詳しくは、コンソールを使用した Block Storage の注文を参照してください。

Microsoft Windows での iSCSI LUNS への接続 の手順に従い、プロビジョンしたサーバーからストレージにアクセスできるようにします。

ストレージをマルチパスにする方法

サンプル・デプロイメントでは、**「ストレージ」**タブから以下のデータを取得しました。

  • ターゲットIP 10.2.62.78 * IQN: iqn.2005-05.com.softlayer:SL01SU276540-H896345 * ユーザー SL01SU276540-H896345 * パスワード EtJ79F4RA33dXm2q
  1. 取得した情報に基づいて、以下を入力します。
[root@sdb192 ~]# cat /etc/iscsi/initiatorname.iscsi
InitiatorName=iqn.2005-05.come.softlayer:SL01SU276540-H986345

場合によっては、/etc/iscsi/initiatorname.iscsi で既存の項目を置き換える必要があります。

  1. 以下の行を /etc/iscsi/iscsid.conf の最後に追加します。
[root@sdb192 ~]# tail /etc/iscsi/iscsid.conf
# it continue to respond to R2Ts. To enable this, uncomment this line
# node.session.iscsi.FastAbort = No
node.session.auth.authmethod = CHAP
node.session.auth.username = SL01SU276540-H896345
node.session.auth.password = EtJ79F4RA33dXm2q
discovery.sendtargets.auth.authmethod = CHAP
discovery.sendtargets.auth.username = SL01SU276540-H896345
discovery.sendtargets.auth.password = EtJ79F4RA33dXm2q
  1. 手順 2 の username 値と password 値を、*「ホストの許可」*の手順 5 でメモした値に置き換えます。

  2. 以下の行を入力して、iSCSI ターゲットをディスカバーします。

[root@sdb192 ~]# iscsiadm -m discovery -t sendtargets -p "10.2.62.78"
10.2.62.78:3260,1031 iqn.1992-08.com.netapp:tor0101
10.2.62.87:3260,1032 iqn.1992-08.com.netapp:tor0101
  1. iSCSI アレイに自動的にログインするよう、ホストを設定します。
[root@sdb192 ~]# iscsiadm -m node -L automatic
  1. マルチパス・デーモンをインストールし、開始します。
[root@sdb192 ~]# yum install device-mapper-multipath
…
[root@sdb192 ~]# chkconfig multipathd on
[root@sdb192 ~]# service multipathd start
  1. 別の LUN がマルチパス出力に表示されるよう、Linux での iSCSI LUNS への接続に示されているコマンドをすべてを完了します。
[root@sdb192 ~]# multipath -ll
…
3600a098038303452543f464142755a42 dm-9 NETAPP,LUN C-Mode
size=500G features='3 queue_if_no_path pg_init_retries 50' hwhandler='1 alua' wp=rw
|-+- policy='round-robin 0' prio=50 status=active
| `- 10:0:0:169 sde 8:64 active ready running
`-+- policy='round-robin 0' prio=10 status=enabled
`- 9:0:0:169  sdf 8:80 active ready running
…`

これで、マルチパス・デバイスをすべてのディスク・デバイスと同じように使用できるようになりました。 デバイス・パスは、/dev/mapper/3600a098038303452543f464142755a42 の下に表示されます。

サンプルの /etc/multipath.confmultipath.conf の例から取得し、ご使用のサーバー上に作成します。 特殊文字、DOS 形式の復帰文字、改行の入力がコピーされると、予期しない動作が発生する可能性があります。 内容をコピーした後に、必ず ASCII UNIX ファイルを使用していることを確認してください。

/etc/multipath.conf のマルチパス・ブロックを適応させ、 /dev/mapper/mpath1 のデバイスにアクセスするパスのエイリアスを作成する。

multipaths {
    multipath {
        wwid 3600a098038303452543f464142755a42
        alias mpath1
    }
}
  1. multipathdの再始動。 これで、/backup ファイル・システムを作成し、ブロック・デバイスにマウントできるようになりました。
[root@sdb192 ~]# service multipathd restart
[root@sdb192 ~]# mkfs.ext4 /dev/mapper/mpath1
[root@sdb192 ~]# mkdir  /backup
  1. 両方のサーバーのファイル・システムを確認します。 出力は、以下のようになります。
[root@e2e1270 ~]# df -h
Filesystem		    Size  Used Avail Use% Mounted on
/dev/sda3             879G  1,5G  833G   1% /
tmpfs                  16G     0   16G   0% /dev/shm
/dev/sda1             248M   63M  173M  27% /boot
/dev/sdb2             849G  201M  805G   1% /usr/sap
db192-priv:/usr/sap/trans
              165G   59M  157G   1% /usr/sap/trans
              db192-priv:/sapmnt/C10
              165G   59M  157G   1% /sapmnt/C10
[root@sdb192 ~]# df -h
Filesystem      	    Size  Used Avail Use% Mounted on
/dev/sda3             549G  2,3G  519G   1% /
tmpfs                 127G     0  127G   0% /dev/shm
/dev/sda1             248M   63M  173M  27% /boot
/dev/mapper/mpath1    493G   70M  468G   1% /backup
/dev/mapper/datavg-datalv
              1,2T   71M  1,1T   1% /db2
/dev/mapper/datavg-saplv
              165G   60M  157G   1% /usr/sap
/dev/mapper/datavg-sapmntlv
              165G   60M  157G   1% /sapmnt

SAP NetWeaver ベースの SAP アプリケーションを IBM Db2 にインストールする場合、完全なバックアップとアーカイブ・ログ・ファイルを実現するためには、データベース管理者ユーザー (db2SID) が所有する /backup の下にサブディレクトリーを作成する必要があります。 ログ・ファイルを自動的にアーカイブするには、IBM Db2 SaaS データベースで LOGMETH1 を設定します。 詳細は IBM Db2 SaaS のドキュメントを参照)

SAP ランドスケープのインストール

前提条件: RPM パッケージのインストール

SAP のインストールには、稼働する OS および OS デーモンにインストールされるパッケージ用に特定の前提アプリケーションが必要です。 最新の インストールガイドを参照)インストールとアップグレード][ダウンロードにアクセス] をクリックします。 これには SAP S-ユーザーIDが必要です。 また、これらの前提条件の最新リストについては、 SAP から最新の サポートノート) ( SAP S-user ID が必要)を参照してください。

以下の 2 つのパッケージをさらにインストールする必要があります。

  • compat-sap-c++: SAP で使用されているコンパイラーとの C++ ランタイムの互換性は、通常はこれで実現されます。 32 GB アプリケーション・サーバーと 192 GB データベース・サーバーのいずれでも OS には Red Hat Enterprise Linux for SAP Business Application 7.X が選択されたため、compat-sap-c++-7 を使用してください。
  • uuidd: UUID の作成のための OS サポートを保守します。

UUIDD がインストールされているかどうかの確認

  1. uuid デーモン (uuidd) がインストールされているかどうかを確認します。 インストールされていない場合は、インストールして開始します。
[root@sdb192 ~]# rpm -qa | grep uuidd
[root@sdb192 ~]# yum install uuidd
[root@sdb192 ~]# chkconfig uuidd on
[root@sdb192 ~]# service uuidd start

compat-sap-c++-7 パッケージのインストール

  1. SAP Note 2195019) に従い、 compat-sap-c++-7 パッケージをインストールし、 SAP バイナリが必要とする特定のソフトリンクを作成します。 このライブラリーが必要かどうかは、インストールする製品向けのリリース固有 SAP Notes を調べて判断してください。
[root@sdb192 ~]# yum install compat-sap-c++-7-7.2.1-2.e17_4.x86_64.rpm
....
[root@sdb192 ~]# mkdir -p /usr/sap/lib
[root@sdb192 ~]# ln -s /opt/rh/SAP/lib64/compat-sap-c++.so /usr/sap/lib/libstdc++.so.6

SAP ソフトウェアのダウンロード

SAP Support Portal)にログインし、 Download Softwareをクリックし、必要なDVDをローカル共有ドライブにダウンロードします。 ご使用のプロビジョン済みサーバーにファイルを転送します。 もう一つの方法は、 SAP Software Download Manager)をダウンロードし、ターゲットサーバーにインストールして、DVDイメージを直接サーバーにダウンロードする方法です。

SAP の SWPM GUI の準備

ご使用のネットワーク帯域幅および待ち時間によっては、SAP Software Provisioning Manager (SWPM) グラフィカル・ユーザー・インターフェース (GUI) をリモート側で仮想ネットワーク・コンピューティング (VNC) セッションによって実行することもできます。 もう 1 つのオプションは、この GUI をローカル側で実行し、ターゲット・マシン上の SWPM に接続することです。 ローカルでGUIを実行する場合は、 SWPMのドキュメントを使用してください)

以下のステップは、SWPM GUI をリモート側で仮想ネットワーク・コンピューティング (VNC) セッションによって実行する概略を示しています。 このオプションは VNC サーバーをインストールしますが、その VNC サーバーがオペレーティング・システムの堅牢化にそぐわない可能性もあるので、セキュリティーのための方策が十分であることを確認してください。 VNCに詳しくない場合は、VNCのドキュメントを参照してください。

  1. 以下のコマンドを使用して、VNC サーバーをインストールします。
[root@sdb192 ~]# yum install tigervnc-server
  1. 次のコマンドを使用して、X11 ウィンドウ・マネージャー twm をインストールします。これは、Linux ディストリビューションに含まれています。
[root@sdb192 ~]# yum install twm
  1. 端末エミュレーター (例えば、xterm) をインストールします。
[root@sdb192 ~]# yum install xterm
  1. コマンド・ラインから VNC サーバーを始動します。
[root@sdb192 ~]# vncserver

この時点で VNC クライアント・プログラムが必要になります。 すべてのオペレーティング・システムのために複数の実装が無料で提供されています。 一般に、ポート 590X (ここで、X は稼働しているサーバーの番号で、1 から始まります) がクライアントからアクセス可能であることが必要です。

twm のバックグラウンド・メニューから xterm を開始することが必要な場合もあります。 xterm から SWPM (sapinst) を開始することができます。

SAP ソフトウェアのインストール

インストール・メディアをダウンロードした後、標準的な SAP インストール手順に従います。この手順は、ご使用の SAP バージョンとコンポーネントのための SAP インストール・ガイド、および対応する SAP ノートに文書化されています。

xterm から SAP SWPM を開始し、インストール・ステップを開始することができます。

3 層環境での SAP ソフトウェアのインストール

3 層セットアップ用の SAP の SWPM のステップに従います。

  1. **「分散システム」**を選択し、データベース・サーバー上に ASCS とデータベースをインストールします。
  2. アプリケーション・サーバーに Application Server ABAP をインストールします。 アプリケーション・サーバーのインストール時には、必ず ASCS のプライベート・アドレスとデータベース・ホスト名を使用してください。

プライベート・アドレスとホスト名を使用すると、アプリケーション・サーバーと ASCS またはデータベースとの間のネットワーク・トラフィックが必ず、パブリック・ネットワークでなくプライベート・ネットワークをパス・スルーすることが保証されます。

サンプルの multipath.conf

以下に示したサンプルの multipath.conf は Red Hat 7.X および NetApp-based iSCSI LUN 用です。

defaults {
        user_friendly_names no
        max_fds max
        flush_on_last_del yes
        queue_without_daemon no
        dev_loss_tmo infinity
        fast_io_fail_tmo 5
}

blacklist の下にあるすべてのデータは、ご使用のシステムに固有のものであることが必要です。

blacklist {
        wwid "SAdaptec*"
        devnode "^hd[a-z]"
        devnode "^(ram|raw|loop|fd|md|dm-|sr|scd|st)[0-9]*"
        devnode "^cciss.*"
}
devices {
        device {
                vendor "NETAPP"
                product "LUN"
                path_grouping_policy group_by_prio
                features "3 queue_if_no_path pg_init_retries 50"
                prio "alua"
                path_checker tur
                failback immediate
                path_selector "round-robin 0"
                hardware_handler "1 alua"
                rr_weight uniform
                rr_min_io 128
        }
}

「人間が読める」デバイス・パスの multipath.conf での multipaths エクステンションのサンプル:

multipaths {
	multipath {
		wwid XXXXYYYZZZ
		alias pathname
	}
}